はじめに
KickStarter で StackChan が出ていた ので、勢いでプレッジしていたんですが、先日届きました。
で、セットアップを進めたらほぼノンストップで AI Agent として音声で会話ができてしまい、それ自体はよい体験だったのですが、そこまでの動線に利用規約の提示やら承諾やらのなんやかやがなにもなかったので、ブラックボックス感が気になり、いろいろ調べています。
前提として、ぼくには趣味レベルの電子工作(PIC、Arduino、Raspberry Pi 周辺)の経験が若干あるものの、M5Stack はその存在は認知しつつも実物を触るのは StackChan が初めて、というレベル感です。オープンソースコントリビューションも趣味なので、気になるところは調べる、直せるなら直す、という文化にも多少慣れているつもりではありますが、もしあからさまにウソを書いていたらごめんなさい(できれば教えてください)。
前提: KS 版 StackChan
本エントリで扱う StackChan は、M5Stack が公式に出しているヤツ(SKU: K151 または K151-R) です。KS 版 とか M5 版 とか呼ばれているようです。
NoteStackChan はもともと個人でオープンソースプロジェクトとして開発されていたモノで、徐々にコミュニティが育ち、ついには M5Stack 社が公式に製品化した経緯がある……と理解しています。したがって、ひとくちに “StackChan” といってもハードウェアスタックやソフトウェアスタックにはかなりのバリエーションがあるはずで、取り上げる際は対象を明確にする必要がありそうです。
ドキュメントとソースコードを見る
この KS 版 StackChan について、いちばんまとまったドキュメントは公式のコレと言えそうです。まずは全部読むとよさそう。
回路図やデータシートも全部ここからリンクされています。
ソフトウェアのソースコードは GitHub で一部公開されているようです。
StackChan 本体のファームウェア、リモコンのファームウェア、モバイルアプリ、サーバ、のコードが含まれています。
が、完全に全部がオープンソースというわけではなさそうで、少なくとも本体のファームウェアはふたつ前のマイナバージョンの断面で止まっています。
また、各種認証に必要な情報はビルド時に注入されていたりもしそうで、このままビルドすれば公式に配布されているものと同じものができる、というわけでもなさそうです。ビルドやリリースのパイプラインもここからは読み取れないので、手元で実際に動いているコレ(StackChan)の中身が確実にコレ(GitHub のコード)である、ということを検証するのはちょっと難しそうですね。
追記(2026 年 5 月 9 日)引き続きビルドプロセスは不透明ではありますが、少なくとも GitHub 上のソースコードは最新化されたようです。
AI Agent の接続先は XiaoZhi AI
StackChan で AI Agent を起動して会話をしているとき、音声認識(STT)、応答生成(LLM)、音声合成(TTS)が行われますが、これらはソースコードによれば XiaoZhi AI のクラウドサービスに接続して処理されているようです。
XiaoZhi AI の利用規約やプライバシーポリシーは、おそらく ログイン画面 に表示されるコレかと思っています。
中国語なので全然わかりませんが、AI で翻訳して読んだ感じ、ひとことでいえば 無料で手軽に使える反面、送信したデータや会話・生成内容について、XiaoZhi AI 側にかなり広い使用権が渡り、再利用されうる といえそうです。
いちばん気になるのは User Agreement のここでした。(2026 年 5 月 4 日時点、翻訳は AI による)。
6.1.3 より良く、よりスマートで、より正確なサービスを提供するために、あなたが XiaoZhi AI を通じて入力・生成・公開・拡散した情報内容の全部または一部(以下「情報内容」と総称します)について、あなたは XiaoZhi AI の運営者および/または関連会社に対し、無料で、全世界において、永続的に、譲渡可能で、サブライセンスおよび再サブライセンスが可能な利用権を付与することに同意します。これにより、XiaoZhi AIの運営者は、当該情報内容を保存、利用、複製、修正、編集、公開、展示、翻訳、配布、または派生作品の作成等に使用できるものとし、これにはモデルやサービスの最適化、関連する研究、プロモーション、マーケティング、ユーザー調査等への利用も含まれますが、これらに限られません。
6.1.3 为给您提供更好更智能更精准的服务,对于您通过小智 AI 输入、生成、发布、传播的信息内容之全部或部分(合称“信息内容”),您同意授予小智AI 经营者和/或关联方一项免费的、全球范围内的、永久的、可转让的、可分许可及再许可的使用权,以使小智 AI 经营者对该信息内容进行存储、使用、复制、修订、编辑、发布、展示、翻译、分发上述生成内容或制作派生作品等使用,包括但不限于模型和服务优化、相关研究、推广宣传、市场营销、用户调研。
できれば使い始めるまでの動線のどこかにこういう情報へのリンクがあるとよいのですが…… ドキュメントの修正提案の送り方がちょっとわかりませんでした。それっぽいリポジトリはアーカイブされている し……。
なんにせよ、接続先がどうあれ、会話の流れでカメラで撮影をされる(画像がクラウドサービスに送信される)こともあったので、とりあえず手元で余っていた物理カバーをつけておきました。

追記(2026 年 5 月 9 日)XiaoZhi AI の利用規約について、@stc1988 さんから情報を提供いただきました。
スクリーンショットのやりとりは M5Stack の Discord サーバ(存在を知りませんでした……)で行われていたようで、チャネルが特定できたので、ぼくからもコメントを投稿済み です。xiaozhi公式に接続して、ポリシーなどは一緒という言質は取れたので共有します。これを踏まえて使い続けるかのご判断はお任せします。
— STC (@stc1988) May 8, 2026
とはいえ、ユーザ同意の導線が全くないのは問題かと思いますので、提案はしておきます https://t.co/JqRugWDoqm pic.twitter.com/xo8FXjOGJo
カスタマイズしたい場合
まだなにも手を動かせていませんが、例えば公式のファームウェアの元の機能をできるだけ維持しつつ接続先だけ XiaoZhi AI から OpenAI なりに変えたい気持ちがあります。
で、StackChan の中身をカスタマイズしたい場合は、ふわっと調べた感じだと次のような手順になりそうです。
- M5Burner などで、公開された(ビルド済みの)別のファームウェアを入れる
- esptool.py や PlatformIO などで、ソースコードからビルドしたファームウェアを書き込む
とはいえ、KS 版 StackChan のファームウェアは当然ながら KS 版のハードウェアスタック(センサやらアクチュエータやら)を前提に作られているわけで、公開されているコミュニティ製のファームウェアでは(同じ CoreS3 に対応していたとしても)ハードウェア含めて全部きれいに動く状態にはならないようにも思います。
また、公式のファームウェアのソースコード をベースにしても、自分でビルドするとモバイルアプリとの連携が動かなくなりそう(≒いろいろ設定できないので AI Agent なども使えなくなりそう)な気がしています(未検証)。
……というあたりに気を付けながらなにかをどうにかしないとですね。
おわりに
なにはともあれ、おもしろいガジェットです。文鎮化させてしまうかもしれないけれども、いろいろ触ってみます。
PIC マイコンとブレッドボードで遊んでいた時代からすると、だいぶ様変わりしましたね。